ドサ日記 雑草帝国の辺境

都会人もすなるブログといふものを、田舎者もしてみむとてするなり。

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メイド服、巫女衣装で萌える?

白と赤――マテリアルゴースト二次小説

【注意】冒頭にちょっとエッチっぽい描写がありますが、十八禁ではありませんのでご安心ください。



「あん、いいわ……後輩! 来て!」
「綺麗だよ、巫女娘。本物の巫女であるお前とこうなる日を……何度夢見たことか!」
 羽毛布団をはね退け、本能のままにケダモノとなった後輩は、巫女衣装を脱がされて白磁のような肌が輝くほどに眩しい巫女娘の裸身に覆い被さった。
「後輩……優しくしてね……」
 巫女娘は耳まで真っ赤になりながら、涙目で哀願する。
「分かってるよ、巫女娘。でも、僕はもう自分で自分を止められないんだ。今までは幽にジャマされて、巫女娘のことをちゃんと見てあげられなかったから……」
「いやん。やめて。もう幽さんの名前は聞きたくないわ。やっとの思いで成仏させて、こうして今、後輩と二人きりの甘い時間を過ごせるようになったんだから!」
「そう、そうだったね。……巫女娘、お前、もうこんなになっているじゃないか」
「いやん。言わないで……恥ずかしい……」
 巫女娘は薄暗い部屋の中でも分かるくらい、更に赤面した。まるで処女のように恥じらって悶える巫女娘の姿を見下ろす後輩は、嗜虐心をそそられて高ぶった。二人の心臓の鼓動は共に自己記録を大幅に更新する勢いで、いかなるハードロックのドラム音よりも激しく乱れ打っている。
「そうだ。僕の能力を使えば、こんなモノを作り出すことだってできるじゃないか。ほら」
 嬉しそうに言って後輩は、手の中に太くて長くてそそり立ったグロテスクなモノを作り出し、巫女娘の目の前に突き付けた。ソレは、まるで自ら生き物であるかのようにピクピクと蠢いていた。巫女娘が瞠目する。
「そ、それは……あ、でも、それはまた今度にして。今夜は……その……初めてだから。後輩自身のが欲しいの」
「自分から欲しいなんて言うとはね。清浄な巫女とは思えない背徳感だね。背中がゾクゾクするよ」
 後輩は霊体物質化能力で作り出したソレを消し、巫女娘を愛おしげに抱きしめる。
「後輩がイケナイんだからねっ! 後輩が私をこんな、後輩がいないと生きて行けないカラダにしちゃったから……」
「巫女娘……」
「後輩……」
「ああ……」「ああん……」
 窓から差し込む生白い月の光だけが、汗にぬめる二人の肉体を照らし出す。冴え冴えとした月光の冷たさとはうらはらに、後輩と巫女娘は熱く燃え上がり、時間が経つのも忘れてお互いを貪欲にむさぼり合った……

「……なっ……」
 赤面している。ジョニーとメアリーが登場するテレビの通販番組的な言い方をすれば、当社比で従来品より三倍濃く赤面しているように見える。
「なんなんですか! これは!!」
 巫女娘は自分の席から立ち上がり、目を三角にいからせて怒鳴った。おや? 巫女娘は自分がヒロインとして描かれているというのに何が不満なのだろう? いや、もしかして、あまりにも嬉しくて、でもその喜びを素直に表現するのが照れ臭くて、だから顔を赤くしながら怒ったようなリアクションをしているのかもしれない。ツンデレというやつだ。
「どうだ。嬉しいだろう巫女娘。後輩は入学した当初から巫女娘に対してはドキドキ感を抱いたことが無いようだから、せめて同人小説の中だけでもということで、巫女娘を相手にドキドキさせてみたのだぞ。なに、お礼はほんの平和園の焼肉をおごってくれるだけでいいから」
 焼肉だけ。かなり譲歩した提案だったが、巫女娘は思った以上に心が狭かった。
「おごりませんから! そもそも嬉しくもなんともありません。それに、同人小説ってなんなんですか! ツッコミどころがあまりに多すぎて、全部にはツッコミ切れないじゃないですか!」
「後輩は、美人で優しい先輩である私に対しては、常に淫らな劣情を抱いているからな。だから私がちょっとニヤッと微笑みかけただけで、ドキドキ感を覚えているのだぞ」
 違いますから、とかなんとか、後輩は何故か必死になって否定しようとしていたが、そんなものは軽くムシ。放課後の教室独特の喧噪に掻き消されて声が聞こえなかったふりをした。
「また後輩は、幽霊ユウに対しても、しょっちゅう抱きつかれて、そのたびにドキドキしていると聞くぞ。……残酷な事実だが、お前だけなんだよ巫女娘。後輩がドキドキのときめきを感じないのは」
 良く言えばアットホームに心を開ける相手、とも解釈できるのだろうが、わざわざそんなフォローするようなことを言う必要もないだろう。巫女娘が図に乗るだけだ。
「ウッ……ど、同人小説ってのは、一体どういうことですか? なんで真儀瑠先輩が小説なんて書いているんですか?」
「それは、先日文芸部を併合し、帰宅部が文芸部を兼ねるようになったからだ」
「え?この学校って、文芸部ってあったんですか?」
 初めて明かされる現守高校の秘密であった。
「あった。だが文芸部は、神と宇宙人と未来人と超能力者と普通の男子高校生という謎の一団に乗っ取られて有名無実化してしまっていたがね。だからウチが代わりに文芸活動をするのだ」
「んなわけないでしょう。それ○宮○ル○ですから」
 額からアニメキャラのようなひとすじの冷や汗を流す巫女娘。
「それはそうと、私の書いた小説、なかなかいい線行っているだろう。この同人小説は大量印刷して、文化祭の時には全校生徒に無料配布しよう」
 自信満々に、専制国家打倒に成功して民主国家設立を宣言する革命家のように、堂々とスタイルの良い胸を張り、偉大なる真儀瑠紗鳥は素晴らしい計画を宣った。
 しかし、天才というのは凡人には理解できないものであるのだ。後輩と巫女娘の反応は冷淡だった。苦々しい顔をずっとしている。
「そもそも、台詞まで完全に先輩の主観で書いちゃっているじゃないですか。私は蛍のことを後輩なんて呼びませんし、蛍も私のことを巫女娘なんて呼びませんよ」
 偉大なる真儀瑠紗鳥はちょっとベタベタな演技で「まさか」という表情と仕草をした。
「むっ……お前たち、ベッドの中ではお互いに下の名前で呼び合っていたというのか……ちょっと誤算だった……」
「誤算も何も……全然違いますから! ベッドの中以前に、普段から下の名前で呼び合っているじゃないですか!」
「ベッドの中以前に……ってことは、ベッドの中ではお互いの間でしか通用しないディープなニックネーム、それこそジョニー、メアリーとでも呼び合っているのか?」
 巫女娘、またも赤面。巫女娘が赤面した回数を数えたことのある人っているのだろうか?日本野鳥の会の協力を得て一度数えてみたいものだ。
「だっ、だっ、だから、全然根本的に違いますから!……蛍もユウさんも何か言ってやってよ!」
 巫女娘に発言を求められた後輩だが、俯き加減のまま言葉を発さない。まるで悔しさを噛み締めるような、美少年にはいささか似合わないいかめしい表情で、上下の唇を前歯で挟んでいる。
「ところで幽霊ユウはこの作品を読んでどのような感想を抱いたと言っている?」
 巫女娘が幽霊ユウの声を聞いて、通訳する。
「『あまりにもヒドすぎるよっ』ってわめきまくっていますよ」
「なぬっ!? ……幽霊ユウよ、具体的にどこがどう悪いと言うのだ?」
「『ケイがいないと生きて……』って、ユウさん! な、な、何を言っているのよ!」
「おい、専任通訳巫女娘。感情的にならずにちゃんと翻訳してくれ。会話が成り立たないではないか」
 あまりの興奮のためだろうか、巫女娘はまたも赤面した。一つ二つと深呼吸をして冷静さを取り戻そうとしている。
「え、ええと、ユウさんは、『ケイがいないと生きて行けないカラダなのは、鈴音さんじゃなくて私だもん』って言っています」
「なんとまあ。私の知らない間に後輩は、幽霊ユウともそんな濃厚とろとろなディープな関係にまで発展していたというのか。女と見れば見境ナシとはこのことか」
 後輩はというと、いまだ自分の席に座ったまま俯いてる。
「……いえ、ユウさんが言っているのはそういう意味ではないようですよ。ケイがいないと物質化できないから、アニメを観たくてもテレビのスイッチすら入れられないし、ゲームをやろうにもコントローラーも持てないし、イクラのザラザラした食感も味わえない……って言っています」
「そっちか。……って、ザラザラ? それはイクラではなくカズノコだったような……」
 ザラザラって……冷凍いくらじゃあるまいし……
「あっ、それ以上に腹立たしい描写があった、って怒鳴っていますよ」
「なんだ。まだあるのか」
「『私の名前は幽霊の幽ではなくって、遊ぶ兎と書いて遊兎だもんっ!』……ですって」
「そっちかよ」
 巫女娘にしても幽霊遊兎にしても、細かいことでごちゃごちゃと……最近の若者は心が狭くて困るものだ。谷崎潤一郎の『細雪』にも比肩しうるであろうこの私の名作小説に対してケチをつけようなどとはおこがましい限りだ。やはり天才は凡人には理解されぬものなのだろうか。美女先輩の繊細なハートは著しく傷ついてしまった。
 そこへ追い討ちをかけるかのように、今まで沈黙を保っていた後輩が遂に椅子を蹴飛ばすようにして立ち上がった。偉大なる美女先輩を真っ正面から睨みつけ、口を開いた。
「ユウの名前由来は遊ぶ兎じゃないからどうでもいいですけど……先輩、この小説はヒドいですよ。あんまりです」
「こっ、後輩までもが……具体的にどこがどう悪いのだ? 言ってみろ」
「僕が……僕が鈴音に襲いかかるなんて……ありえません」
「えっ?」
 巫女娘が、喜ぶべきか悲しむべきかどっちつかずな微妙な表情をしていた。いかにも曖昧な日本の私という感じだ。どっちかにしろ。
「そう。ありえません! 僕が……僕が……」
 後輩が下唇をわななかせ、握り拳をぷるぷる震わせて力説する。
「僕が、羽毛布団陛下を放り出して鈴音へ走るなんて浮気は、ぜぇっっったいにあり得ませんからっ!」
「「「そっちかよ」」」
 先輩、鈴音のツッコミがハモった。先輩には聞こえないが、ユウのツッコミもハモって三重奏になっていたに違いない。

 その後、巫女娘が「私って、蛍の中では羽毛布団よりも下の扱いなんだ……」とかなんとか呟きながらどんより落ち込みまくっていた。
「いいもん、いいもん……今度、蛍の家に押しかけて、白い羽毛布団の上にイクラの赤い汁をこぼしてやるんだから……イクラはクリーニング屋さん泣かせで、なかなか落ちないんだから……」
 巫女娘もイクラが好きなのだな、と思いながら、先輩は小説を推敲することにした。イクラの食感を「ザラザラ」と表現する前衛的斬新な可能性を目の当たりにしたことによって、目から鱗が落ちて、天才である自らにもまだ努力による向上の余地があると悟り、即座に実践に移ったのだ。
「そうだ。巫女娘の中は、カズノコならぬイクラ天井ということにしよう。これが完成すれば、無料配布でなくても、多少は料金を取っても完売できそうだぞ……」
 ニヤリ。

 神無鈴音、落ち込んでいる場合ではない。
 先輩の同人雑誌完成を阻止しなければならない。
 果たして阻止できるのか?
 それはまた、別の物語である。

メイド服、巫女衣装で萌える?

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